2023.10.23
日々の生活に欠かせない、食卓を彩る器。
沖縄では約6,000年以上前から土器が作られ、長きに渡って調理や貯蔵のために使用され続けてきました。時代は下って11・12世紀になると、交易などにより中国大陸や日本列島から磁器や陶器といった焼物がもたらされ、17世紀には沖縄でも陶器が作られ始めます。また、これら土から作り出された器の他にも、シャコガイを打ち欠いた貝皿がみられるのは沖縄独特の文化と言えます。また、破片での出土がほとんどですが、石をくり貫いて加工した石鍋や鉄製の鍋などもみられます。もちろん、木から削り出した皿や椀などもあったはずですが、沖縄では高温多湿の環境のため木製品は残りにくいようです。
そんな沖縄での発掘調査ではなかなか出土することのない木製の器を今回は紹介したいと思います。この器は皿のようでもあり、脚の短い高坏(たかつき)にもみえる形をしています。これは発掘調査で出土した遺物ではなく、沖縄の木工作家、西石垣友里子さんの作品です。ヤマグルチという木から作られていて、内面に木目が数条走り、表面にはノミの削り跡がまるで鱗のように残っています。
木の器は、その木の種類や素材とする部位や方向によって個性が生まれるようです。もちろん、加工の仕方によってもきっと受ける印象は違うのでしょう。また、焼物に釉薬をかけて表面を飾るように、木の器にも漆をかけた漆器がありますが、この木皿は削り出されたままの器です。そのため、木の柔らかさや温かさが伝わってくるように感じられます。さらに、この器の表面には、見る角度によってきらきらと光る部分があります。これは、杢(もく)呼ばれるもので、木目と直交した部分に波模様のような光沢が光の加減で見えるようです。
木の器は、日々のメンテナンスが大変そうで敬遠していたのですが、油物でもなんでも盛って、どんどん使って良いし、またそれが味になるという西石垣さんの言葉に背中を押され、多少のシミは気にせずに、この木皿は食卓で活躍しています。
キーエンス製3Dスキャナ型三次元測定機VL-700
20分
比較的シンプルな形状であるため、スキャニングしやすいタイプ