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3D計測 No.5 「コンドル・ピューマ・ヘビ」

2023.08.14

南アメリカ大陸でアンデス山脈一帯を治めたインカ帝国。
高度な石造建築技術を持ち、文字の代わりにキープという縄の結び目を用いた記録を行うなど独自の発展を遂げた文明です。15世紀にその領土は最大となり、北はエクアドルから南はチリに至る南北約4000kmに渡って広がっていました。

そのうちでもっとも有名な遺跡はマチュピチュではないでしょうか。このインカ帝国の都市は標高約2,400mの山頂に位置しており、切り立った崖下にはウルバンバ川が山裾を蛇行して流れている様子が見えます。遺跡内には石で作られた住居跡や神殿の他、斜面地に段々畑などもみられます。
よく見られるマチュピチュの写真は遺跡をやや見下ろすような角度で撮影されています。「空中都市」というキャッチフレーズのせいか、山頂にある遺跡ということで一番高い場所に位置していると思われがちですが、実際は周りの山々の方が高く、遺跡の真ん中に立つと周囲を山で囲まれている景色が目に入ってきます。
アンデス文明のなかでインカ帝国はスペイン人到来まで続いていた最後の文明ですが、それ以前にもチャビン・モチェ・ナスカ・シカンなど様々な文化が各地にみられました。これらアンデス文明は、文字・鉄器を持たなかったほか、車輪を使わなかったこと、地理的に大きな河川沿いではなく山間部や高原地帯であったことなど、旧大陸でみられる文明の成り立ちとは大きく違っています。また、ジャガイモ・トウガラシ・カボチャなど南米を原産とする植物が多く、動物についてもリャマ・アルパカ・コンドルなど独自の生態系がみられます。
今回、計測した青銅製の置物は、アンデス文明でモチーフとしてよく用いられるコンドル・ピューマ・ヘビを組み合わせたものです。マチュピチュ遺跡の麓の村、アグアスカリエンテスにはインカの皇帝の周りにこの3体を配した銅像が建てられているようです。


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使用機器: キーエンス製3Dスキャナ型三次元測定機VL-500
計測時間: 2時間
結  果: 表面に刻まれた目や口などの細かな形状を精確に表現
立体的に入り組んだ形状であるため、多くの計測回数が必要