2022.12.12
躍動感あふれる写実的な絵を残した古代ギリシャ文明。
この小皿は現代の飾り皿なのですが、紀元前6世紀ごろにギリシャで流行した黒絵と呼ばれる様式を真似て作られています。黒絵は壺や皿などにみられ、戦争や神話のほか、日常生活が題材として描かれているので、当時の様子を知る貴重な資料と言えます。
ギリシャと言えば、オリンピックの発祥の地であり、青いエーゲ海と白い建物の風景といった典型的なイメージがすぐに思い浮かびます。また、穏やかな地中海の気候で、オリーブが茂る庭、ワインと魚介類が並ぶテーブルという映画のワンシーンも羨望の気持ちと共に思い出されます。
ここで少し、高校の世界史を簡単におさらいしてみましょう。
古代ギリシャ文明は、今から約3000年前に興ったヨーロッパの初期文明です。アテネやスパルタなどのポリスと呼ばれる都市国家が成立し、めざましい経済や社会の発展を遂げました。高度な政治思想にも支えられて、産業や交易が栄えたのはもちろんのこと、文化的にも彫刻・陶芸・建築・哲学・文学といった多くの分野で優れた作品が残されています。
このような隆盛を誇ったギリシャも、その後、マケドニアやローマ帝国などの支配下に置かれ、14世紀以降はオスマン帝国の版図に組み込まれるなど、ヨーロッパ史の中心からは外れていきます。歴史的には決して途絶えたわけではないのですが、日本で習う世界史の教科書では、当時のギリシャの扱いはとても小さくなっています。
今回は、華やかな文明を誇った古代ギリシャに思いを馳せつつ、お土産物の飾り皿を3D計測しました。皿に描かれた男性は地面にひざまずき、手には何か持っているように見えます。いったい何をしているのでしょうか。
高台部に開けられた紐通し用の穴が狭小であり、断面ラインの表示が困難